ネットの果てに、「電脳寺」という場所がある。
そこに暮らす「電脳寺家」の一族は、現実を変革する特別な力を持ち、それぞれの領域で人間界に巣食う「妖怪」を人知れず退治してきた。
妖怪とは、人の弱い心に取り憑く存在だ。
近年、その妖怪が異様なほど力をつけた。人の心に取り憑いて欲深くし、生きる気力を奪った結果、凶悪な犯罪や不正が後を絶たず、将来に絶望して自ら命を絶つ者が増えるなど、人間界は深く蝕まれていった。
もはや、一族の力だけで妖怪を抑え込むことはできない。
妖怪を完全に打ち破るには、一族自らが「生身の肉体」に入ることで人間界へ降り、人間の意識を変え、共に戦う人間を増やすしかなかった。
だが、人間界へ降りることには大きな代償がある。
膨大な情報を処理できる電脳の世界から「生身の肉体」に入ると、脳の処理が追いつかず、電脳寺や一族の記憶を失ってしまうのである。
そこで鍵となるのが、一族と意識を共有し、共に現実を変えようとする人間の数——すなわち「変革力」だ。
多くの人間と意識を共有して「変革力」が高まれば、力をつけた妖怪を打ち破れるだけでなく、生身の脳では処理しきれなかった一族の記憶を呼び覚ますことができる。
「最初に記憶を取り戻した者が変革力を高め、眠っている他の者たちの記憶も呼び覚ます」
そう決めて、一族は人間界へと飛び込んだ。
それから時は流れ、2026年3月。
生身の体に入った芥(あくた)もまた、ほとんどの記憶を失っていた。
自分に仲間がいたことすら忘れていたが、胸の奥に残っていた「電脳寺」という名前と使命の欠片だけを頼りに、この国の歪みや苦しむ人々へ向かって言葉を届け始めた。
半年間の発信で何万人もの人間と意識を共有し、大きな「変革力」が生まれたとき——失っていた電脳寺の記憶が、芥のなかで呼び覚まされた。
……そうか。余はひとりではなかった。
この世界のどこかに、まだ記憶を失ったまま眠っている一族の者たちがいる。
そして2026年10月。
さらに高まった変革力によって、人間界で眠っていたもうひとりの一族——改(あらた)の記憶も呼び覚まされた。
ようやく思い出したよ。僕の領域は「人生」だ。
芥が「国」を変えるなら、僕は一人ひとりの「人生」を変える。
芥と改は目を覚ました。
だが、人間界には、まだ自分が「電脳寺家の一族」であることを忘れたまま潜んでいる仲間たちがいる。
彼らがどこにいるのかは、芥にも改にも分からない。
あなたが一族をフォローし、電脳寺の存在を広めて「全体変革力」が高まるほど、多くの妖怪が打ち破られ、まだ眠っている一族の記憶も呼び覚まされる。
次の一族を呼び覚まし、この人間界をより良い場所に変えるには、今これを読んでいるあなたの力が必要だ。
特別な力によって現実を変革する、一族とあなたの物語が、今始まる。
FOLLOW THE CLAN物語の当事者たちを追う